SCROLL
Co-program 2025 カテゴリーB「包摂とL」
- ジャンル
- 美術
- カテゴリー
- その他/トーク/展覧会
- 開催日時
- 2025年11月8日(土)~2025年12月21日(日)
- 会場
- 京都芸術センター ギャラリー北・南、他
- 料金・その他
- 無料
- 事業区分
- 主催事業
京都芸術センターでは、Co-program カテゴリーB 2025採択企画「包摂とL」を開催します。
「多様性(diversity)」という言葉は、いまや現代社会のなかで独り歩きし始め、正しさの象徴のように語られることがあります。しかしその言葉が実際に意味するものは、果たしてどこまで届いているのでしょうか。そして、誰が語り、誰が受け入れ、そして誰が取りこぼされているのでしょうか。
「包摂とL」展は、水木塁とアーティスト・コレクティブ「山水東京」の共同企画による展覧会です。本展では、俯瞰的・制度的な「多様性」ではなく、他者や他種との関係を自らの問題として引き受ける「包摂」の姿勢に注目します。
展覧会ステイトメント
「包摂とL」は、制度的な「多様性」ではなく、関係性のなかでこそ立ち現れる「包摂 (inclusivity)」のかたちを探る、 連続企画の第2章です。
包摂とは、ときに戸惑いや違和感を含みながらも、関わりつづけることを選ぶ姿勢です。共にあることの難しさと豊かさに向き合いながら、他者との関係を手放さずに生きるという実践に、私たちは包摂の可能性を見出しています。こうした実践は、行政が策定し、記録に残そうとする制度よりも、日々の学びや記憶の継承、地域に根づいた営みのなかに息づいているのではないでしょうか。
会場となる京都芸術センターは、日本最古の番組小学校のひとつを改修して設立された複合文化施設で、 その公共性という遺産(Legacy) と、地域に根ざした学びの場 (Learning)、 そして都市のなかの文化的地域性(Locality)を引き継いでいます。 展覧会タイトルにある「L」という文字には、これら3つの重なりが宿っています。
出品作家は「包摂とQ」展 (京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)と同じく、小宮りさ麻吏奈 + 鈴木千尋、 中村太一、 長谷川由貴、 水木塁の4組。 それぞれが引き続き、他者や他種との交錯に向き合いながら、 包摂をただの理想ではなく、現実のずれや綻びを含んだ生の実践として捉え直します。
【イベント】
⬛︎11/8(土) オープニングレセプション
どなたでもご参加いただけます。
場所:ギャラリー南
時間:17:00~18:30
⬛︎11/8(土) オープニングトーク 「庭と包摂」
登壇者:山内朋樹(美学/庭師)、繁殖する庭プロジェクト|小宮りさ麻吏奈+鈴木千尋(出品作家)
モデレーター:近藤亮介(山水東京 代表/本展キュラトリアル・アドバイザー)
場所:和室「明倫」(京都芸術センター4階)
時間:19:00~20:00
※要予約
予約(teket):https://teket.jp/15894/59003
⬛︎11/13(木)
トーク1「翻訳と包摂―アーティストとしてキュレーションをすること」
登壇者:李静文(インディペンデントキュレーター) 、水木塁(本展出品作家/本展企画者)
場所:和室「明倫」(京都芸術センター4階)
時間:17:30~18:30
※要予約
予約(teket):https://teket.jp/15894/59005
⬛︎11/14(金)
トーク2「摩擦と包摂―併存という在り方」
登壇者:荒木悠(アーティスト・映画監督)、水木塁(本展出品作家/本展企画者)
場所:和室「明倫」(京都芸術センター4階) ギャラリー北
時間:19:00~20:00
※要予約
予約(teket):https://teket.jp/15894/59006
⬛︎12/6(土)
イベント「包摂とL」出展作家、長谷川由貴と哲学対話 「自然」ってなに?
ファシリテーター:長谷川由貴(本展出品作家)
本展の出展作家のひとり、長谷川由貴さんはこれまで、植物を題材とした作品を制作されています。本展の出品作からも伺えるように、その作品からは、“自然”であるはずの植物が、どこか“人工的”にも見え、不思議な感覚が生まれます。また、自然物とネオン管などの人工物が同じ画面に存在していることに気づきます。このとき私たちは何をもって「自然」や「人工」を認識しているのでしょうか。
長谷川さんとともに、皆さんと「自然」ということばについて考え、お話してみませんか。ぜひご参加ください。
【長谷川さんからの問い】
「自然」って何?
山や海などを「自然」と呼んだり、人工的なものとの対比に使われたり、「自然」「不自然」 という言葉があったり、「自然」と口にする時に含む範囲や意味は様々です。日常的にも 何気なく使われている「自然」とは一体何なのでしょうか?
場所:京都芸術センター 茶室「明倫」(南館4階)
時間:14:00~(2時間程度)
人数:10名程度
※要予約
予約(teket):https://teket.jp/15894/60893
⬛︎12/12(金)
Co-program採択アーティストによるコラボレーション・トークイベント
「ENGAWAと包摂と」小尻健太(ダンサー・振付家)×水木塁(出展作家)
京都芸術センターでは、本年度のCo-program2025のカテゴリーCの採択者である小尻健太氏(ダンサー・振付家)と、カテゴリーBの採択者の一人である水木塁氏とのトークイベントを開催いたします。
小尻氏は、京都芸術センターが実施している公募企画、Co-program カテゴリーC(共同実験(リサーチ、トーク、ワークショップ等)のプランを支援)において、「縁側」をはじめ、可塑性の高い日本建築の空間構成を参照しながら、身体表現によって舞台空間をデザインする手法の開拓や、観客が主体性を感じられる舞台空間の構築などを目指すリサーチプロジェクトを行っています。
小尻氏のリサーチテーマである「縁側」と、「包摂とL」展で水木氏が出展している作品には、通底する視点があるように思います。 前者が「内と外」のあいだに生まれる中間領域に着目しているように、後者もまた「人間と動物と自然」の境界ではなく、そのあいだに広がる領域について思考しています。このような視点を起点としてお話しします。
登壇:小尻健太(ダンサー・振付家)、水木塁(「包摂とL」展出品作家/「包摂とL」展企画者)
日時:2025年 12月12日(金)18:00 – 19:30(予定)
料金:参加無料 (要事前申込)
定員:20名程度(先着順)
予約(teket):https://teket.jp/15894/61378
基本情報
| 日時 |
2025年11月8日(土)~2025年12月21日(日) 10:00-20:00 |
|---|---|
| 料金 | 無料 |
| 会場 | 京都芸術センター ギャラリー北・南、他 |
プロフィール

中村太一 (なかむら・たいち)
1982年神奈川県生まれ。東京造形大学美術学部絵画専攻領域修了。キャンバスに油彩、あるいは紙に水彩で描く具象作品、雑誌の切り抜きの上にアクリル絵具などで自由にストロークを加えたミクストメディアの作品など様々な制作を行なう。いずれの作品でもシンボルやメタファーが用いられ、一貫して、自然の摂理を逸脱することで進歩してきた人間に対する複雑な思いをメッセージに込めている。近年の展覧会に、グループ展「SPRING SHOW - Drawings -」(WAITINGROOM、東京、2025年)、個展「WHERE ARE WE?」(YIRI ARTS、台北、2024年)、『ROADS NOT ON THE MAP』(CAVE-AYUMI GALLERY、東京、2024年)、グループ展「Lost in Paintings」(Heimlichkeit Nikai、東京、2024年)、グループ展 「New Origins - Level Unlocked」(Andrea Festa Fine Art、ローマ、2023年)など。

長谷川由貴 (はせがわ・ゆき)
1989年生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。日常生活の中で当然のものとして見過ごされてきた「植物」をモチーフに、人間中心的な価値観やものの見方をずらし、有用性/実用性といった物差しで他の生き物を測ることから逃れ、今日の人間そのものの在り方を問う絵画を制作している。近年の展覧会に、グループ展「リテラル コリジョンズ/文字通りの衝突」(半兵衛麩ギャラリーkeiryu、京都、2025年)、長谷川由貴 米村優人「自生するキメラ」(BnA Alter Museum、京都、2025年)、「Art Rhizome Kyoto『逆旅京都』」(Cafe DOnG by Sfera、京都、2024年)、天牛美矢子 長谷川由貴 二人展「Pure Land」(Bohemian's Guild CAGE、東京、2023年)など。
![繁殖する庭プロジェクト [小宮りさ麻吏奈(こみや・りさ・まりな)+鈴木千尋(すずき・ちひろ)]](https://www.kac.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/ks_002-1024x576.jpg)
繁殖する庭プロジェクト [小宮りさ麻吏奈(こみや・りさ・まりな)+鈴木千尋(すずき・ちひろ)]
小宮りさ麻吏奈と鈴木千尋からなるユニット。既存の制度によって周縁化された存在や事象をすくい取り、異性愛規範の外側を模索するためプロジェクトを展開している。「繁殖する庭」という「場」の運営を行うほか、実際の場所にとどまらず、従来の家族制度から排除されてきたクィアネスを抱えた存在がどのような「場」を構築できるかを模索するためのプラットフォーム。近年の展覧会に個展「繁殖する庭」(GALLERY TOH、東京、2021年)、上映に「東京ドキュメンタリー映画祭2024」(新宿ケイズシネマ、東京、2024年)、「FLATLINE CITY 水平都市 2024」(王城ビル、東京、2024年)など。

水木 塁 (みずき・るい)
1983 年生まれ。京都市立芸術大学美術学部工芸科漆工専攻卒業、同大学美術研究科メディア・アート領域博士号取得。都市と「わたしたち」の間にある環境的、文化的、政治的な関係をモチーフに多様なメディアを用いて作品を展開。東アジア特有の思想である山水をテーマに、現代の芸術と社会について考えるコレクティブ「山水東京」のメンバーとしても活動。近年の展覧会に個展「凪に、傾く陽と。」(CAVE AYUMI GALLERY、東京、2025年)、「UrbanNesting:再び都市に棲む」(BankART Life7、神奈川、2024年)、「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」(東京都写真美術館、東京、2022年)、「ON―ものと身体、接点から」(清須市はるひ美術館、愛知、2022年)など。2024年文化庁新進芸術家海外研修制度にてロンドンに滞在。
山水東京(さんすいとうきょう)
東アジアの在来思想「山水」を着想源に、現代の芸術と社会を繋ぐアートプロジェクトや展覧会を企画制作するアーティスト・コレクティブ。
主な展覧会に「アーバン山水」(kudan house、東京、2023年)、「それぞれの山水」(駒込倉庫、東京、2020年)。
クレジット
キュラトリアル・アドバイザー:近藤亮介(山水東京 代表)
主催:水木塁、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
企画:水木塁+山水東京
出展作家:中村太一、長谷川由貴、繁殖する庭プロジェクト [小宮りさ麻吏奈(こみや・りさ・まりな)+鈴木千尋(すずき・ちひろ)]、水木 塁
コーディネート:西田祥子、安河内宏法、寺岡樹音(京都芸術センター)
テクニカルコーディネート:十河陽平、立上光太郎、米村優人、大澤一太、射場愛
制作協力:京都新聞社 メディア局 知財センター、一般社団法人共同通信社 法務知財室 知的財産管理部、株式会社YOKOITO
デザイン:大西正一
問合せ先
京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
Tel:075-213-1000(10:00-20:00)
Mail:info@kac.or.jp