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京都芸術センター Co-program(コープログラム)2026 採択事業発表!

投稿日
2026年1月23日
更新日
2026年1月23日
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お知らせ


京都芸術センターは、創造の核となるアーティストや芸術団体との連携を強化し、その活動を支援することで新たな価値を創造する公募事業「Co-program」を実施しています。
2026年度は、国内外から計65件の企画提案をいただきました。1次審査(書類審査)及び2次審査(面談/プレゼンテーションと質疑応答)を行った結果、以下の5件が採択となりましたので発表いたします。

カテゴリーA:共同制作(公演事業)
次代を担うことを期待されるアーティストや芸術団体が主体となり、京都芸術センターと協働することで、新しい芸術表現の探求と活動のステップアップにつながる事業

採択事業(応募19件中2件、採択率10.5%)
①早川葉南子『遊戯-演習2-』(実施予定時期:
調整中)
内田結花『リスペクトピープル』(実施予定時期:2027年1月頃

カテゴリーB:共同開催(展覧会事業)
アーティストやキュレーターによる展覧会プランで、京都芸術センターと協働することでプロジェクトの実現を目指す事業。特に新進のアーティストを紹介するものや新たな展開を試みる企画。

採択事業(応募26件中2件、採択率7.7%)
①佐藤朋子「パッチワーク!京都 ― 日韓アーティストによる断片の語り」(実施予定時期:2027年7月~8月)
②坂本夏海「袋の発明」(実施予定時期:2028年2月~3月

カテゴリーC:共同実験(リサーチ、トーク、ワークショップ等)
アーティストや芸術団体、研究者等が主体となり、京都芸術センターと協働して新たなテーマの探求やリサーチ、既存のジャンルの枠に囚われない実験を試みる事業。

採択事業(応募20件中1件、採択率5%)
マルガサリ「Pendulum」

【総評】
Co-program2025 カテゴリーA「共同制作」(公演事業)審査評

カテゴリーAには、19件の応募がありました。既存の舞台芸術の枠におさまらない実験的な提案が多く、たいへん興味深く刺激的な内容でした。
今回の審査において、特に重視したのは、企画内容そのものに加え、各申請者・団体のキャリア形成において、このCo-program 2026への採択がどのような意味を持つのか、という点です。いつ、どのようなタイミングで応募すべきかについては、申請者の方も悩まれることと思いますが、本プログラムでは審査基準の一つとして【適時性】を掲げ、「本事業の実施によって、アーティストや芸術団体のステップアップが期待できること」を重視しています。すなわち、これまで一度もリサーチやトライアウトの経験がない段階では難しく、また、すでに完成した作品で発表歴がある場合も、相対的に評価が厳しくなるというものです。
今回採択したのは、内田結花さんによる「リスペクトピープル」と、早川葉南子さんによる「遊戯―演習2―」の2つの企画です。「リスペクトピープル」は、憧れや尊敬をトレースし、式典的な形式を混ぜ替えることで、上演の場そのものを作品化するパフォーマンスです。また、「遊戯―演習2―」は、外部の視線や社会制度に規定される身体を問い直し、〈制御不能な身体〉を遊戯的実践として立ち上げようとする試みです。いずれの企画も、これまで着実に積み重ねてこられた実験やリサーチを土台に、京都芸術センターという場の特性を活かしながら、クリエイションをさらに発展させようとされている点を高く評価し、採択に至りました。
最終審査では意見が分かれ、たいへん悩ましい判断となりました。今回採択に至らなかった企画の中にも、今後も継続的にコミュニケーションをとり、別の機会や企画でご一緒できる可能性を感じさせる提案が数多くありました。貴重な時間を割いて応募してくださったすべてのみなさまに、心より感謝申し上げます。

Co-program2025 カテゴリーB「共同開催」(展覧会事業)審査評

本年度のカテゴリーBでは、次年度の事業計画の関係上、2026年度と合わせ、2027年度に開催する企画についても公募する形式をとることとなりました。その結果、応募件数は例年並みの26件ではあったものの、特に2027年開催の枠に高水準な申請が多く寄せられ、非常に難しい審査となりました。
最終的に、2026年度開催の枠は「採択なし」とし、2027年度に実施する企画として、興味深いプロセスのもとで作られるDismantling Motherhood「袋の発明」と佐藤朋子「パッチワーク!京都 ― 日韓アーティストによる断片の語り」の2件を、「制作拠点」という特徴を持つ京都芸術センターが協働する意義が大きいと判断し、採択することといたしました
Dismantling Motherhood「袋の発明」は、アーティストの坂本夏海と社会学者の齋藤梨津子が数年にわたり協働してきた「母(Motherhood)」という言葉を「解体(Dismantling)」し、「他者をケアする能力」をひらいていくことを目指すアートプロジェクトの一環となる申請です。横浜、岩手、東京で、「母親」という役割を担う人々と対話を重ねてきたこれまでの軌跡を踏まえつつ、京都では対話する対象を広げて、新たなリサーチを行うことが計画されています。継続的な対話と交流によって形作られる制作過程が、社会に対する静かで力強い意思表明になっており、本プログラム後のプロジェクトの発展にも期待が持てる提案でした。
佐藤朋子「パッチワーク!京都 ― 日韓アーティストによる断片の語り」は、映像、言葉、身体による実践を重ねる日韓のアーティスト・キュレーターによる共同企画であり、断片化が進む今日の社会の状況を見つめながら、その中でとりこぼされていく記憶や歴史を「語り」によってつなぎ直す試みです。韓国と日本、言語表現と視覚表現、様々な要素を交差させる実践となっている本申請には、新たな表現形式を生み出そうとする意欲が強く感じられ、文学と美術における両国の共通点や相違点が照射される機会となることが期待されることから採択しました。
惜しくも採択とならなかったものの、アート分野内外の様々な専門家との協働や、個々の生活の中にある切実さを丹念に見つめ直すこと等を通じて、今日の社会に向けて示唆に富んだ意思表明を行う企画が多くありました。このたびご応募いただいたすべての皆様に感謝を申し上げたいと思います。

Co-program2025 カテゴリーC「共同実験」(リサーチ、トーク、ワークショップ等)審査評
カテゴリーCには20件の応募がありました。
形式を問わず実験的な企画を募集するフレキシブルな枠組みとして公募をしている本カテゴリーには、毎回、多彩なジャンルからの応募が集まりますが、今回の公募には、バイオアート、生活文化、タイポグラフィなどの分野からの応募のほか、海外からの公募も複数あるなど、いっそう多様性を増した企画が集まりました。
ジャンルも、目指すべき地点も、それぞれに異なる企画の中から一つを選出する困難な審査のなかで、今回は、音楽を通じて異なる文化的背景を持つ国と国、人と人の関係を編み直そうとする可能性を感じさせたマルガサリ「Pendulum」を採択することに決定しました。
「Pendulum」は、関西を拠点に活動するガムラン・アンサンブルとして長い歴史を持つマルガサリが、ドイツ・カッセルを拠点に活動するガムラン・アンサンブル「マニャルセウ」からの招聘を受けたことに端を発するプロジェクトです。ドイツにおいてマニャルセウが取り組む難民支援のワークショップに共に取り組み、難民ともに演奏活動を行い、帰国後、日本でも同様の活動をしたのち報告会と演奏会を行うことが構想されています。
ドイツと日本において、様々な国にルーツを持つ人々が、共にある一つの民族音楽を演奏するということ。全く異なる難民政策をとってきた両国の相違点、とりわけ難民という存在に対する意識の違いが鮮明にあぶり出されるであろうプロセスから、「文化や芸術を通じて人を支援するとはどういうことなのか」について学び取る機会となることを期待し、採択に至りました。
残念ながら採択に至らなかった企画のなかには、積み重ねてきた経験や関心を咀嚼しながら自らの表現を深め、拡張しようとする意欲に満ちた提案や、今日の文化芸術が置かれている状況そのものを問い直すような企画などがあり、刺激と学びを得る機会となりました。
応募いただいたすべての方に感謝を申し上げます。