京都芸術センター|KYOTO ART CENTER
 

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Co-program 2019 TRA-TRAVEL「ポストLCC時代の  」関連企画 「co-mirrorring / コ・ミラーリング」

ジャンル
  • 美術美術
形   態
  • 展覧会展覧会
事業区分
  • 主催主催

「co-mirrorring/コ・ミラーリング」はタイとフィリピンのアーティストの映像作品のオンライン上映展です。

「co-mirrorring/コ・ミラーリング」は、2020年1月―2月に京都芸術センターで開催された「ポストLCC時代の  」展の派生イベントとして企画しています。
2020年2月の展覧会が終了するとともに世界的なパンデミックが深刻化し、奇しくも国際移動の困難な「ポストLCC時代」とも呼べる状況の中に突入しました。国境を越える移動が困難な現在、どのような国際協力や協働の形がありえるかを考え続けた結果、まずは他者の声や状況を聞くこと、それ自体を他者へこのようなイベントとして開くことから始めてみようと考えています。
本オンラインイベントでは、ウィズコロナ/アフターコロナの「移動」「距離」「場所」をテーマに、タイとフィリピンのパートナーが選出したアーティストの映像作品をオンラインで上映します。「ポストLCC時代の  」展からちょうど1周年の節目に、他者の声や状況に耳をかたむけることから、今を考える一つのキッカケになることを願っています。

参加アーティスト:
Piyarat Piyapongwiwat (ピヤラット・ピヤポングウィワット)/ タイ
Prapat Jiwarangsan(プラパット・ジワランサン)/ タイ
Kardpol Nitipisanon(カードポル・二ティピサノン) / タイ
Mars Bugaoan (マーズ・ブガワン) / フィリピン
Kanade Yagi(矢木奏)/ 日本・フィリピン
Mark Omega(マーク・オメガ)/ フィリピン
日時
2021年1月11日 (月) - 2021年1月25日 (月)

※会期終了後は動画のリンクは切れ、閲覧いただけません。
会場
オンライン上(本ページ)
キュレーターノート(タイ作品)
パンデミック以前/以後におけるタイにおける「旅」をテーマに、過去、現在、未来における旅の特定の側面を伝える3本の映像作品を選出しました。

最初の作品は、Piyarat Piyapongwiwatの過去作で、彼女がタイ人留学生としてフランスに住んでいた時に制作された作品です。留学とはひとつの旅の在り方です。
日本の古い映画の美学を借用しながら、この作品が語るのは、地球温暖化という現在の問題であり、単にナショナルな記号以上のものを表現するものです。

2つ目の作品は、Prapat Jiwarangsan によるもので、彼がアーティスト・レジデンス・プログラムに参加していた時にこの作品を制作しました。この作品では、日本とタイの両国の法的措置に行き詰り、その中空に身をよせる青年の人生を描いています。留まるべきか、旅に出るべきか、そのような選択を観客に問いかける作品です。

3作目は、最近映像学科を卒業したKardpol Nitipisanon の作品で、未来への旅をテーマにしています。しかし、私たちには本当に未来があるのでしょうか?
2020年4月4日から、タイへと向かう全ての国際便は運航停止となり、タイではロックダウンが実施されました。Kardpolは、このロックダウン期間中にこの映像作品は制作されました。ポスト・コロナの世界において、旅ができるのは記憶だけなのではないか。そのような、未来のない世界を旅するという想像力が描かれています。

Graiwoot Chulphongsathorn(タイ) / キュレーター
1)「Snowy Night」(4分9秒/無声/2010年)
Piyarat Piyapongwiwat(ピヤラット・ピヤポングウィワット)/タイ

http://www.tra-travel.art/co-mirroring1

「ある春先の夜、南フランスの熱帯気温の都市モンペリエは異常な大雪に見舞われた。」
2010年に制作された本作は、人類の莫大なエネルギー消費量が主因の1つとされる地球温暖化、それがもたらす危機への想像力を背景に制作されています。
また本作は、日本映画の白黒フィルムの美学にインスパイアされており、最終ショットでは記号論的なコミュニケーションが試みられてはいますが、動きも、ズームも、撮影計画もないロングテイク6本で構成されています。

コロナ禍のロックダウンによっって作家はネグロス島から出られなくなり、タリサイ市のABungalowという家に滞在している。本作品は庭に一人腰掛ける作家自身を映し出している。
2)「Destination Nowhere」(7分19秒/日本語、英語、タイ語字幕/2018年)
Prapat Jiwarangsan(プラパット・ジワランサン) / タイ

http://www.tra-travel.art/co-mirroring2

本作は、不法就労移民のもとに生まれたが故に、住み慣れた日本から一度も行ったことのない母国へ、強制退去させられる状況にある青年へのリサーチやインタビューを元に構成される映像作品です。
母国や帰属する場所を持たぬ人物をテーマにすることから、国/人という輪郭や、またそれらを規定す制度の在り方を本作は問います。
3)「記録によると 彼女は星たちのなか最後を迎える」(4分59秒/日本語・英語・タイ語字幕/2020年)
Kardpol Nitipisanon(カードポル・二ティピサノン)/ タイ

http://www.tra-travel.art/co-mirroring3

移動できない今、映像作品はどのように作れるのか
映画学科を卒業したKardpol Nitipisanonは、6月から7月にかけてのロックダウン期間中にこの映像作品を制作しました。
本作の映像は、ロックダウン期間中、その時系列にNASAの「ハッブル望遠鏡」の映像を選び取られています。(それらはCovid-19パンデミック期間の宇宙映像)
ナレーションは、中国に住む友人の声をZoom経由で録音したものです。
「私たちがパンデミックを生き残れなかったとしても、その記憶は宇宙を周回し続ける方法がありえるのではないか」そのような想像力に基づく思弁的フィクション作品です。
キュレーターノート(フィリピン作品)
身体的な移動が極度に制限されている今日、モビリティ(可動性)がもつ社会・文化的意味と価値について改めて考え直す必要があると思う。「移動」は自由の象徴であると同時に、望まない移動を強いられている人たちもたくさんいる。経済活動を優先した、人や物の移動によって引き起こされる環境問題も深刻化している。アーティストたちは、コロナ禍の移動不可能性に何を見出しているのだろうか。本スクリーニングでは、突然の移動制限によって旅先での滞在が予期せず長期化した、あるいは長期化しているアーティストが、ロックダウン中に制作した作品を紹介する。

Load na Dito(日本・フィリピン) / キュレーター
4)「Day No. 97」(1分00秒/2020年)
Mars Bugaoan (マーズ・ブガワン) / フィリピン

http://www.tra-travel.art/co-mirroring4

コロナ禍のロックダウンによっって作家はネグロス島から出られなくなり、タリサイ市のABungalowという家に滞在している。本作品は庭に一人腰掛ける作家自身を映し出している。
5)「Paths」(13分54秒 / HD video with sound / 英語、日本語字幕、HD / 2020年)
Kanade Yagi(矢木奏)/ 日本・フィリピン

http://www.tra-travel.art/co-mirroring5

矢木奏は古くから島に伝わるヒーラーの実践を取材するために、一年の数ヶ月間をシキホール島で過ごしている。本作はロックダウンが始まって以降約7ヶ月の間に撮りためた映像と日記に書き記したヒーラー一家との会話と自身の言葉を編み上げて制作された。
6)「Audio Log 1, 2, 3」(26分13秒 / Sound recording with images / 2020年)
Mark Omega(マーク・オメガ)/ フィリピン

http://www.tra-travel.art/co-mirroring6

マーク・オメガは、フィールド・レコーディングを使った作品を制作発表している。本作品はロックダウン中の音を収録した3本のテープで構成されている。ロックダウン中の作家の日常が記録されている。
Audio Log 1 (Arago’s Afternoon Adult Radio, 7:40am March 20, 2020)/ 00’00”-
Audio Log 2 (Lapu-lapu Market Ukay (Thrift) Walk, 9:30am June 15, 2020)/ 13’35”-
Audio Log 3 (Air Punk – Playground About Us, 8:30pm July 10, 2020)/ 19’10”-

「ポストLCC時代の  」展

「ポストLCC時代の  」展は、2020年1-2月に京都芸術センターにて開催されたアジア4カ国のアーティストによる展覧会です。
(コロナ以前の)オーバーツーリズムな状況を、LCC(格安航空会社)時代と呼称し、近未来における国境を越える人や物や情報の移動がもたらす力学を考察しました。https://www.kac.or.jp/events/27485/

2021年8-9月に、タイのシラパコーン大学アートセンターに巡回予定。

主催

TRA-TRAVEL、京都芸術センター

共催

協力
Load na Dito
Art centre Silpakorn University

助成
一般財団法人おおさか創造千島財団

URL

https://www.facebook.com/TRA.TRAVEL.ART/

問合せ先

TRA-TRAVEL
E-mail: info.tratravel@gmail.com

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