京都芸術センター|KYOTO ART CENTER
 

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NEW INCUBATION 7『パラレルワールド または私は如何にして世界を愛するようになったか』 パラレルイベント/ニュイ・ブランシュKYOTO2015関連企画

ジャンル
  • 美術美術
  • その他その他
形   態
  • 展覧会展覧会
事業区分
  • 主催主催

オルタナティブな社会のヴィジョンを提示

現在開催中の展覧会NEW INCUBATION 7『パラレルワールド あるいは私は如何にして世界を愛するようになったか』(9月9日[水]~10月18日[日])では,10月3日(土)に開催されるニュイ・ブランシュ KYOTO 2015に合わせて,期間限定の関連企画=パラレルイベントを開催します.この関連企画では,EUGENE KANGAWAとPIERRE JEAN GILOUXのそれぞれが,当センターの特徴的な空間を変容させる作品を発表します.

今回のNEW INCUBATIONでは,アートの立場からオルタナティブな社会のヴィジョンを提示するための最も端的な方法としての映像作品に焦点を当て,ドキュメンタリーでもフィクションでもない映像を制作する2名の気鋭作家,EUGENE KANGAWAと,PIERRE JEAN GILOUXを招き,それぞれの視点から現代の日本を描いた作品を展示しています.両者の作品は,制作の出発点や方法論,世界観こそ対照的ですが,いずれも 「かつてあり得たかもしれない/ いまだ存在していない」日本を扱っています.

これらの作品を「パラレルワールド」と呼ぶことができるのは,いずれも「現実の」風景を映し出したものでありながら,ある段階において「この世ならざるもの」が現出し,現実と非現実とが折り重なりながら両者の境界が抹消されているように感じられるためです.GILOUXは自らの作品のことを,リアリティーとフィクションのあいだを往還しながら現実を再構成する「先取りフィクション」(Prospective Fiction)と呼んでいます.同様に「映像」という形態をとる以前のコンセプトに相当するKANGAWAの 「スクリプト」は,都市計画や企業の研究機関などの分野でも注目され,「映像作品」とは異なるかたちで実現を迎えています.

SF小説や映画のなかに登場する設定が現実化されていく現代において,このような作家の姿勢はアートと社会の関係を考え直すためのきっかけを与えてくれるのではないかと考えます.近代以降,社会から包含的に排除されることで自らの存在意義を見出してきたのがアートだとするならば,一般の社会から「切り離され」ながらも、如何にして「つながる」ことができるのか,それでもなお世界を愛することができるのかを,GILOUXと KANGAWAは作品において示しているように感じられます.

本展覧会の完成形となる展示をぜひこの機会にご覧ください.
日時
2015年10月3日 (土) - 2015年10月9日 (金)
※日時の詳細は下記をご覧ください
会場
京都芸術センター フリースペース,和室「明倫」,京都国際マンガミュージアム
1. EUGENE KANGAWA 《SANSUI》 Special Installation
今回のインスタレーションでは,厳冬期の東北の山岳地帯を美しく描いたモノクロの映像作品《SANSUI》が水を張り巡らせた大空間にて映し出され,水の上を歩いて鑑賞することができます. すでに消滅したとされる幻の山岳宗教の修験場で繰り広げられる,豪雪地の北の難峰 “太陽の山と月の山”,鳥海山と月山,その間で昼夜めまぐるしく循環する自然――雪の山,滝や川などの水系,森,平地――などを,身体的な体験を通して見ることができます. 苦行とも言える経験を超えて得られた審美的な映像を, 本インスタレーションにてぜひご体験ください.
日時:10月3日(土)18:00-22:00
     4日(日)10:00-13:00/18:00-22:00
     5日(月)10:00-17:00
会場:フリースペース
2. PIERRE JEAN GILOUX Film Screening
4つの短編映像シリーズ"Commercial Fragmentations"より,《Welcome Diams island》と 《Ups and Downs》を京都国際マンガミュージアムの壁面で上映します.
日時:10月3日(土)20:35-20:45 
会場:京都国際マンガミュージアム(中京区)
3. PIERRE JEAN GILOUX 《Invisible Cities #2# Japan Principle》 
都市が生物のように再生する「変態」(メタモルフォーシス)を日本文化の中心概念としてジルーは捉えています。彼は,この「変態」の原理を「Japan Principle」と名付け, 日本の「まちづくり」に焦点を当てた新作を発表します。飛行船のような伊東豊雄の「風の卵」が、東京―横浜間の建築物を発見する旅へと鑑賞者をいざないます。障子を彷彿させる建物のファサード、「開かれてゆく」空間と光の反射によって、インテリア(内面)とエクステリア(外面)が相互に不可分になっていきます。
日時:10月3日(土)-9日(金)10:00-20:00
※10月3日(土)は,ニュイ・ブランシュKYOTO2015のため22:00まで延長開廊
会場:和室「明倫」

Eugene Kangawa(カンガワ ユウジン)

1989 年,アメリカ生まれの現代アーティスト/映像作家.デザインを専攻後,リサーチをベースに,スクリプトや設定に重点を置いたフィルム,インスタレーションなどを手がけ,特に実写映像やファウンド・フッテージを用いた美しくもミニマルな表現は高い評価を受け,2013 年にはサーペンタインギャラリー(ロンドン)のプロジェクトに参加.また,2011 年より手がけた二つの作品 《from the future》(2011 -) と《After the War》(2011-) が,世界的な音楽家であるTerry Rileyの共感を呼び協業を行う(2014,東京).また同時にKANGAWAは,都市計画や特許研究,人工知能や教育の研究などに携わるなど,そのダイナミックな活動が新たなアーティストとして世界的な注目を集めている.これらの活動はすべて,アーティストにとっては映像作品と並列のコンセプチュアルな作品であり,KANGAWAを擁するON(株式会社オブジェクト・オブ・ヌル)も,彼の活動を最大化する組織として様々な領域から評価を受けている.
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http://eugene-kangawa.com/ 
http://supervision-project.com/ 

Pierre Jean Giloux(ピエール=ジャン・ジルー)

アーティスト・映画監督のピエール=ジャン・ジルーはリヨン国立美術学院で学んだ後,チェルトナム美術大学(イギリス)とマルセイユ=リュミニー美術学院で学ぶ.当初は写真作品を中心に制作していたが,現在では映像作品を主に制作している.ピエール=ジャンの作品は,新しいテクノロジーに関するリサーチの結果として発表される.特に,写真,映像,CG の間の関連性や混成形に関心があり,美術や建築の文脈を参照しながら,ポップ・カルチャーやマスメディアの情報をつなぎ合わせた独自の言語をつくりだす.なかでも,5 つの短編映像により構成されるシリーズ“Commercial Fragmentations”(2009 年)は高く評価されている.最近では,“BEYOND THE SOUND” 展(2015年,香港),“Wabi Sabi Shima” 展(2015 年,ブリュッセル)に出品.日本では,『黄金町バザール2013』(2013 年,横浜),『No Man’ s Land』展(2010 年,東京)に参加.インスタレーションや映像作品をポンピドゥー・センター(パリ),MAC/VAL(ヴィトリー=シュル=セーヌ,フランス),バス・ノルマンディー地方現代アートセンター(カーン,フランス),イヴリー現代アートセンター[CREDAC](イヴリー=シュル=セーヌ,フランス)ほか,様々な国際的アートフェスティバルで発表している.
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http://pierrejeangiloux.com/
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A film by Pierre-Jean Giloux: A Solang Production Paris Brussels, co-production S.O.I.L., Brussels
with the support of: CNC dicream, Arts Numériques CFWB, S.O.I.L., VAF.
2015年ヴィラ九条山レジデント

主催

京都芸術センター

URL

ニュイ・ブランシュ KYOTO 2015 公式サイト
http://www.nuitblanche.jp/

問合せ先

京都芸術センター
TEL:075-213-1000
FAX:075-213-1004
E-mail:info@kac.or.jp

料金

無料

協力

アンスティチュ・フランセ関西,ヴィラ九条山

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