京都芸術センター|KYOTO ART CENTER
 

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作家ドラフト2014入選者発表!

若手アーティストの発掘・支援を目的とし、
京都芸術センターでの展示プランを募集する「作家ドラフト」。
本企画は、美術に限らず各界の第一線で活躍する方を審査員に招き、
その独自の視点から審査を行うことが特徴です。
「作家ドラフト2014」概要はこちら

今年度は建築家の青木淳氏に審査をお願いし、156件の応募の中から2名の作品展示プランが選ばれましたので発表いたします。

入選者

鎌田友介[ギャラリー北]
高橋耕平[ギャラリー南]

審査員による講評

京都芸術センターの「ギャラリー北」は、もともとは「明倫小学校」の校舎だった建物に一度入って、それからまた中庭に出て、その向こうのはずれにあるので、物理的にも歴史的にも、京都の町の奥の奥にあるという感じがあって、そこに「京都における構築と破壊の歴史のリサーチ」から生まれる構造物を置く、という鎌田友介さんの提案は、その町をその町足らしめている源泉を抽出・圧縮して、町のただなかにそれを、いわば入れ子状に埋め込む、と言っているようなもの。これは言葉の正しい意味での「世界の模型」の制作であって、その結果きっと、京都という町を内側から裏返して見せることになるだろう、と思った。しかも彼の姿勢は、ぼくたちのまわりにある世界を静的な構造として見るのではなく、動的な構造がたまたま実体化したひとつの相として見るというもの。京都という世界が、まったく新しい世界に感じられる機会になることを期待している。

「ギャラリー南」は、「ギャラリー北」とはまた違う、もうひとつの種類の奥の奥にある。正面の元校舎に入って、その先に延びる木製の腰と建具が印象的な廊下を進み、突き当たりで右に折れたその奥にある。こちらは空間的にも時間的にも、次第に暗がりに沈潜していくような感じがあって、高橋耕平さんはそこに、明倫小学校とは別の、でもやはり今では廃校になった小学校の世界を出現させようとしている。その体験はおそらく「再演」というものに近く、一度現実の世界のなかで体験したことがここでもう一度始めから繰り返され、しかしそれが何かしら違う意味合いを帯びてしまわざるをえないという、これまた入れ子状の構造をもっている作品になるようだ。展覧会プランによれば、その作品の中身もまた別の再帰的構造によるもののようで、幾重もの重なりの綾織りからぼくたちの世界を炙り出すような展示になるのではないか、と期待している。
                                     (青木淳)


応募してくださった皆様、ありがとうございました。
高橋さん、鎌田さんの展示は2014年2月に開催予定です。ご期待ください!