京都芸術センター|KYOTO ART CENTER
 

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「内臓語にもぐる旅」リサーチメンバー募集!

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わたしたちの話す日本語はどうやって現在の形になったのか?

 「内臓語にもぐる旅」は、鳥公園主宰・劇作家・演出家の西尾佳織と京都芸術センターが共同で行う、言葉と身体についてのリサーチプロジェクトです。「わたしたちの話す日本語はどうやって現在の形になったのか?」を多角的にリサーチし、その成果をさまざまな形で発表します。演劇をはじめ、あらゆる芸術の根本にある「言葉」と「身体」。それぞれや2つの関係性を掘り下げることで、創作の源に立ち返り、新たな表現の可能性を見出すことを目指しています。

 リサーチは、西尾佳織を中心に様々な分野のアーティストや専門家、公募で選出するリサーチメンバーで構成するグループで行います。今年は、8月から11月にかけて、月に1回の勉強会(日程は後述)のほか、講師を招いてのレクチャー等を実施する予定です。

 リサーチ始動に向け、「内臓語にもぐる旅」に共に取り組むリサーチメンバーを募集します。活動日程全てに参加ができ、リサーチに参加することが自身の活動と切実に結びつく方であれば、創作に携わっていなくとも大歓迎です。様々な視点からテーマを捉えられることは、共同リサーチの利点のひとつ。

 ご応募をお待ちしております!
日時
リサーチメンバー募集期間:
2017年7月4日(水)~8月7日(月)
会場
京都芸術センター
募集要項・応募用紙
◇リサーチメンバー募集内容《応募締切:8月7日(月)23:59 》
対象:この企画に参加することが、自身の活動と切実に結び付く方。活動日程に全て参加できる方。普段の活動ジャンルは問いません。また、必ずしも創作に携わっていなくても問題ありません。様々な方のご応募をお待ちしています。
募集人数:4~5名
活動場所:京都芸術センターほか
活動日程:8月23日(水)、9月23日(土)、10月14日(土)および11月13日(月)~19日(日)
※7月31日(月)にプレミーティングを実施します(参加必須ではありません)。
 時間や詳細は後日発表します。
【注意:7/21追記】プレミーティングの日にちが変更になりました。
【7/24追記】プレミーティングの時間・会場が決定しました。
 日時:7月31日(月)14:00~17:00 
 会場:京都芸術センター ミーティングルーム1
 ※ミーティングルーム1は事務所の奥にございます。
  お越しになりましたら、事務所までお声がけください。
待遇:交通費相当額を支給

◇応募方法
件名を「内臓語にもぐる旅・応募」とし、本文にお名前(ふりがな)・年齢・電話番号・メールアドレス・性別・課題図書いずれか一冊の感想と志望動機(合わせて1000字以内)を明記して、horikoshi@kac.or.jpまでお送りください。参加の可否は、8月16日(水)までにメールにてお返事いたします。

課題図書
・吉本隆明『詩人・評論家・作家のための言語論』(メタローグ)
・大野晋『対談 日本語を考える』(中公文庫)
・安田敏朗『「国語」の近代史 帝国日本と国語学者たち』(中公新書)
・柳父章『近代日本語の思想 翻訳文体成立事情』(法政大学出版局)
企画の背景と詳細
◇プロジェクトへ向けて
 はじめまして、西尾佳織と申します。鳥公園という劇団で、劇作家・演出家として活動しています。
 突然ですが、演劇は言葉と身体からつくられます。10年くらい演劇をやって来て、演劇作品をつくるときのなんとなくの流れは多少知ったような気がするものの、この営みがなんなのか根本的にはまだまだ全然分かっていない。というか10年分やってきた経験によって、習い性みたいになって見えなくなってしまっていることもあるかもしれない。ずっとひっきりなしに作品をつくり続けてきたので、ここらで一度、作品をゴールに置かず、創作の根本の言葉と身体についてじっくり学んで考えたい、人と一緒に、と思いました。それで立ち上げたのがこの企画です。
 「内臓語にもぐる旅」は、わたしたちの話す日本語はどうやって現在の形になったのか? をリサーチし、その成果をさまざまな形で発表する活動です。とりあえず今年は、月に1回の勉強会と、講師を招いてのレクチャー等をする予定です。本企画では、日本語のかたちが大きく変わる分岐点になった近代と、万葉集くらいの古代の日本語(内臓語)に着目し、日本語を探っていきます。

内臓語……詩人・評論家の吉本隆明が掲げた言葉。「腹黒い」、「へそ曲がり」など、身体に関する具体的な言葉で、精神に関する抽象的な事象を表す。ポリネシア、ミクロネシア、メラネシア、インドネシアと東南アジアとの中間にある島(ネシア)全体を合わせたオーストロネシア語群で話された「南の島の言葉」で、琉球沖縄も含まれ、もしかすると旧日本列島も含まれる可能性があるらしい。

近代日本語……ヨーロッパから文化や技術が輸入された明治時代、日本では輸入された概念を記述・運用するために、日本語のかたちを大きく整備した。新しい漢字を作り、主語を作り、句読点を採用した。そこから今の日本語(標準語)が生まれている。

◇なぜ、今この企画をやるのか?
 私はよく、「いま生きているこの生が絶対ではない」ということを考えます。それはどういう意味かというと、この時代に生まれたことも、この日本という国に生まれたことも、たまたまだということです。自分の生まれた条件を取り換えることは出来ませんが、例えば絶対だと思っていたルールが実はほんの何十年か前につくられたものだったと分かったら、「こうしか生きられない」と思っていた形をもっとやわらかく捉えられるようになるかもしれない。
 アメリカのトランプ政権誕生や、イギリスのEU離脱、「オルタナティブファクト」や「ポストトゥルース」という言葉など、これまで世界の中心にいた国々が自国に閉じこもるような流れと、出来事と言葉の乖離(意図的な捻じ曲げ)を感じます。アングロサクソン的なパラダイムが移り変わりつつあるのかもしれない、と思います。日本も基本的にはその同じ流れに乗っかってきたと思うので、その流れに乗っかることを選んだ時点と、それよりずっと前、全く別の流れの中に生きていた時代を見ることで、もっと違う今のあり方の可能性を考えたいと思っています。

◇このプロジェクトを通して
 私自身は、日本語の底流にもぐり、言葉と思考の枠組みを捉え直すことから、自分の演劇を再構成していくことがこの企画をやる動機です。でもこの企画自体は、演劇の企画ではありません。言葉について集中的に考えることを通して、参加者の皆さんそれぞれの普段の活動に新しいインスピレーションが生まれるようなものになればいいなと思っています。企画が始動したら、企画者/参加者という関係性ではなく、公募のリサーチメンバーの方にも勉強会のファシリテーターを務めていただくなど、主体的に場をつくっていっていただく予定です。
KAC TRIAL PROJECT / Co-programとは
京都芸術センターは今年度より、アーティストとの連携を強化して創作・発表の場を広げるべくKAC TRIAL PROJECT / Co-programを始動。昨年12月に、カテゴリーA「共同制作」(公演事業)、カテゴリーB「共同開催」(展覧会事業)、カテゴリーC「共同実験」(リサーチ、レクチャー、ワークショップ等)、カテゴリーD「KAC セレクション」(舞台芸術の分野での発表に限定した支援)の4つの枠組みの中でプランを募集しました。

西尾佳織(にしお かおり)

1985年東京生まれ、5歳~11歳の5年半をマレーシアのクアラルンプールで過ごす。東京大学にて寺山修司を、東京藝術大学大学院にて太田省吾を研究。2007年7月に鳥公園を設立。以降、全作品の作・演出を担当。「正しさ」から外れながらも確かに存在するものたちに、少しトボけた角度から、柔らかな光を当てようと試みている。2014年『カンロ』にて第58回岸田國士戯曲賞最終候補作品にノミネート。2014年より、アトリエ劇研アソシエイトアーティスト。

主催

西尾佳織(鳥公園)、京都芸術センター(KAC TRIAL PROJECT / Co-program カテゴリーC採択事業)

問合せ先

京都芸術センター(担当:堀越)
TEL:075-213-1000
FAX:075-213-1004
E-mail:horikoshi@kac.or.jp

鳥公園ウェブサイト

https://www.bird-park.info/

助成

平成29年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

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