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村上慎太郎「アジア顔が巡る、アジアの無自覚」リサーチが始まります!

村上慎太郎「アジア顔が巡る、アジアの無自覚」
KAC TRIAL PROJECT / Co-Program 2017 カテゴリーC「共同実験」(リサーチ、レクチャー、ワークショップ)採択企画

京都の演劇カンパニー「夕暮れ社弱男ユニット」で劇作と演出を務める村上慎太郎が、東南アジアに属する異なる宗教圏の5都市を巡りながら、現地で毎日作詞作曲するフォークソングを通して新たな生死観を浮上させ、「アジア人としての顔」を現代へ問いかけるリサーチプロジェクト。

村上慎太郎本人による、リサーチ期間中の日報はこちら

リサーチ期間


2017年12月23日 (土) - 2018年1月16日 (火)

スケジュール


2017年12月23日(土・祝)-26日(火)…マニラ(フィリピン)
2017年12月27日(水)-31日(日)…ジョグジャカルタ(インドネシア)
2018年1月1日(月)-4日(木)…シンガポール
2018年1月5日(金)-8日(月)…クアラルンプール(マレーシア)
2018年1月9日(火)-16日(火)…バンコク(タイ)

リサーチに寄せて(筆:村上慎太郎)


 2014年あたりから自身の作る演劇作品に、海外滞在経験がないにも関わらず、他国の国名が登場するようになりました。おそらくそれは、グローバル化への漠然とした憧れからだと思います。

 私の唯一の海外渡航経験は、2014年に、韓国の映画祭に招聘された2日間だけです。あとは、2015年に大阪ドイツ文化センターとの共同プロジェクトで、ドイツの同時代戯曲「モノ」(作:フィリップ・レーレ、2011年)を本邦初上演させてもらった際、作家のレーレ氏も訪日し、アフタートークでドイツと日本の演劇について語り合いました。また2016/17年には、中国の伝統芸能である変面と日本の狂言のコラボレーションに脚本・演出として参加し、アジアの古典文化について、中国文明から連なる流れを肌で感じました。

 しかし同時に、それは結局、教科書的に歴史の背景を感じたように思っただけで、現地のことなどを生で見たことがない違和感も覚えました。もちろん、外国への憧れがあるからこそ遠慮なく書けて演出できることもあり、実際に知ってしまうことでできなくなることもたくさんあるのだと思います。知って何かが変わる確信もないですが、今後劇作を続けて行く上でこの憧れを、この目で確かめたい気持ちの方が強く、このタイミングで、自分の中にしっかり地盤を固めておきたいと考えました。

 今回、このリサーチでは、東南アジアへ赴き、フィリピン・インドネシア・シンガポール・マレーシア・タイの5ヶ国を周ります。体力の限り、異なる宗教圏の国々の空気を感じたいのです。そして、なぜ東南アジアかといえば、自分の顔が「東南アジア系の顔だね」と指摘されたことがあることに尽きます。自分ではそんなこと一度も思ったことがなく、指摘されて初めて気づき、若干のショックを受けました。恐らく、顔の良し悪しを指摘されたから受けたショックではありません。ではなぜ、なのか?なぜ落ち込んだのか?その“無自覚のショック“の理由を掘り下げ考えていく中で、無意識の底で“東南アジア”に対するマイナスイメージを抱えていた事や、自分が同じ“アジア人”であるということを日々の流れの中で忘れていました。

 この無自覚が面白いと思い、同時に、この無自覚を捉えたいと思いました。やはり、こうして急に運命で結びつけられたものだから、興味が出て来て、知りたくなったのです。恋に落ちた時に近い現象かもしれません。なので、現地で暮らす一般の人々や同世代のアーティストと語り合えることを探したり、自分と似たような顔立ちの人たちにいろんな質問をぶつけて無自覚だったものに少しでも距離を縮めたい。

 そして、インプットしたものからフォークソングを1日1曲作ります。見たもの・感じたこと・社会のことを創作として発散するためには、フォークソングが一番適しています。更に、その自作した曲を他者に共有し聴いてもらい晒すことで自分の中の無自覚が社会性を帯び自覚的になり、自身の考えや作品もアップデートされるのではないかと思います。それを次の作品へ繋げていこうと考えています。

リサーチ報告会


2018年3月31日(土)、京都芸術センター内にて予定。

プロフィール


村上慎太郎(劇作・演出家)

1984年京都市生まれ。2005年京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科在学中に「夕暮れ社 弱男ユニット」を結成。以降、劇団では脚本・演出を担当している。2008年、次代を担う新進舞台芸術アーティスト発掘事業「CONNECT vol.2」(主催/大阪市)にて大賞を受賞。過去作品に、『プール』(2014)『ハイアガール』(2015)『僕たちは、世界を変えることはできない』(2016)等。第24回OMS戯曲賞ノミネート。舞台以外にも、テレビ・ラジオなどのドラマ脚本や新作狂言の台本も手がける。

夕暮れ社 弱男ユニット

2005年、京都造形芸術大学在学中だった村上慎太郎の個人ユニットとして「弱男ユニット」を結成。砂浜や会議中の会議室前、ライブハウスなど劇場外での活動を多く行う。2008年、活動の幅を広げていくために劇団員を募り、劇団化。「夕暮れ社 弱男ユニット」と名前も改める。作風としては、演出の趣向性で登場人物のリアリティを追求し、俳優から滲み出る多彩なアイデアを舞台に盛り込んでいくのが特徴。現在、4名で京都を拠点に活動している。また、2014年5月新進演出家短編作品上演会にて村上慎太郎が選出され、2014年12月より「劇研アクターズラボ+夕暮れ社 弱男ユニット」が始動。


主催:京都芸術センター、村上慎太郎
助成:平成29年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業
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